任意売却と自己破産はまったく別物

任意売却と自己破産を一緒にして考えている人もいるようですが、任意売却と自己破産はまったく別物ですので、分けて考える必要があります。

任意売却というのは不動産の担保物件に限った話で、たとえば購入したマンションや戸建て住宅の住宅ローンが債務不履行に陥った場合、つまり住宅ローンの返済が遅れたり返済ができない状態になってしまったりしたときに選択する法的手続きです。

任意売却ですから、その名の通り、不動産の所有者(債務者)の任意で売却時期や売却価格を決めることができます。

これに対して競売というのは、住宅ローンの滞納があって、銀行などの金融機関(債権者・担保権者)から再三再四の催促や勧告が行われているのに、債務者がこれに応じなかったとき、最終手段として取られる法的手続きです。

ほぼ強制的ですので、不動産物件の持ち主が価格や時期を決めることはできません。

裁判所からの裁定があって、その期間がきたら強制的に退去しなければなりません。

任意売却には、こうした最悪の状況から一般消費者である国民を守るという主旨があります。

自己破産とは、住宅ローンなどの不動産に関する借金に限らず、支払いやローン、クレジットなどのカード決済などの諸々が滞って行き詰まり、その結果、これらの債務のすべてをチャラにしてもらう最終的な手段です。

参考記事→http://www.rakumachi.jp/news/archives/64270

これを成立させるためには、資産を所有していては受理されないので、たとえ住宅ローンを支払っている最中の物件でも売却して始末しなければなりません。

その意味で同時並行的に手続きがすすみますが、自己破産手続きは任意売却などの必要がない人でも申請できます。

価格が見合うまで先送り可能な任意売却。

不動産取引に慣れた人や不動産の業者であれば、それに関係した法律には精通しているでしょうが、一般消費者がいきなり任意売却だとか、競売だとか言われても、なかなかピンとこないものです。

ましてや若い人で初めて住宅ローンを組み、銀行や金融機関から融資を受けたという債務者には、何のことだか皆目見当もつかないような状況ではないでしょうか。

任意売却というのは住宅ローンの返済が滞ったときに、強制的な没収(競売)など最悪な状態になる前の法的な手段のことです。

住宅ローンの返済がきちんと行われている場合の売却なら何の問題もありませんが、任意売却は住宅ローン滞納という前提がつきますから少し厄介です。

法律事務所の弁護士や不動産仲介会社が銀行(債権者・担保権者)とのあいだに入って交渉することになります。

交渉とはいえ、事実上、任意売却することは決まっているわけですから、“今後の任意売却の段取りの報告”を行う程度のことです。

債権者である銀行などの金融機関にとっては、痛くもかゆくもない日常的な話です。

任意売却のメリットは、売却価格などを債務者である不動産のオーナーが決定できることと、売却時期、あるいは売却先などを自分で決められることです。

自己破産に絡んだ任意売却でない限りデメリットはありませんが、売却価格が住宅ローンの残債を下回っている場合は、売却しても残債は残ることになります。

しかしこれは任意売却でない通常の売却でも起こり得ることで、任意売却だけのデメリットとは言い切れません。

時間に余裕があれば、価格が見合うまで売却を見送ることも可能です。

▼関連リンク⇒【任意売却の賢い仕方】任意売却のメリット・デメリット情報! – NAVER まとめ

米国とは違う、日本の強者救済のための法律。

任意売却という制度が日本にはあって、「競売などで丸裸になってしまう前に債務者(不動産の購入者・一般市民)を守ろう」というのが主旨だそうです。

ところが現実にはどうかというと、住宅ローンの債務不履行に陥った人たちは、たとえ任意売却で担保物件である不動産を手放しても、住宅ローンの残債が売却価格を上回ってしまえば、その残債金額は債務者の負担として残ります。

1000万円の住宅ローン残債があり、800万円で担保物件が売れたとしたら、残りの200万円は、債務者本人が銀行に返済しつづけなければなりません。

任意売却で不動産物件を手放してまで得た結果がコレであるなら、任意売却のメリットなどないも同然です。

むしろ「任意売却にはデメリットが潜んでいる」、「一般消費者を守るなど見せかけの大義名分」とも言えます。

それに対して融資を行なった銀行などの金融機関は、保証会社によってコゲツキが出ないように守られています。

それもその原資というのは、融資を受けた債務者が支払った掛け金で賄われています。

うがった見方をすれば、“弱者のお金で強者が救われ、弱者はそれでも責任を負わされる”と言っても過言ではないような制度です。

アメリカには日本の任意売却のような制度がない代わりに、債務不履行になった債務者は、不動産を手放しさえすれば残債は負わないという法律が整備されています。

弱肉強食の論理は昔からよく引き合いに出されてきましたが、日本の法律は弱者を守るというより、強者を守るようにできていると思える節が多くあります。

任意売却に限って言えば、残債分をなぜ住宅ローンの保証会社が肩代わりできるような法律にできないのか、なぜ銀行などの金融機関だけが守られるのか不思議でなりません。